早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術

~あらすじ~
作家・清水義範の小説スタイルは「パスティーシュ(模倣芸術)」と呼ばれてきた。さかのぼれば、『旧約聖書』の「ノアの方舟」の話は『ギルガメシュ叙事詩』からの引用だと言われる。スタインベック『エデンの東』は『旧約聖書』のカインとアベルの物語から作られた。また、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』に腹を立てて生まれたのがスウィフトの『ガリヴァー旅行記』である。

世界の文学はつながっている。

(筑摩書房公式サイトより)

私の評価:

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~感想~
私は著者である清水義範さんの事はまったく知りませんでしたし、小説も小中高と習った教科書以外のものだと数えられるほどしか読んでいません。(それは言い過ぎかもしれませんね)
別に小説が嫌いというわけではなく、過去にはまってシリーズで読んだ小説もありましたが、どうも私の場合、最初に読み始める勇気が必要なようで買ったは良いものの数年間放置している小説も何冊かあります。
小説ってテレビ番組や映画などの映像とは違い読まなければ先に進みませんし、かといって、漫画のように楽にすらすら1冊を短い時間で読めてしまうものではないので、「勇気」が必要になるのだと分析してみました。小説好きの方からすれば首を傾げられる事でしょうが、まあそういう奴もいるのだよと思ってください。

さて、前置きが長くなりましたが、今述べたように私はあまり小説を読んでおらず、ましてや世界の名文学など読んだことがないため、本書では題名を知っている程度の名文学がぞろぞろと出てきたわけですが、そんなのもあってか、『早わかり世界の文学』という楽~にいいとこ取りでなんとなくあらすじを知れそうで良さそうな本だと思い手にとりました。

本書は過去のいくつかの講演をまとめ、それに論考などを加筆したもので構成されています。著者がパスティーシュ作家ということもあり、最初の講義(節)ではパロディは文学でつながっているというものから始まり、様々な世界の文学を話に交え、自分の小説家としての生き方や半生を語ったり、著者が選ぶ世界十大文学なんてのも収録されています。

私は恥ずかしながらパスティーシュWという言葉を初めて知ったのでパロディとの違いなど分かって良かったです。ちなみに本来の目的である世界の有名文学をなんとなく分かるというのは私としては充分に満足できる内容だったかなと思います。本書での当時の時代背景を交えた分かりやすいあらすじの紹介でそれ自体を読みたくなったかというとまた別問題ですが、題名だけ知っている物語は「へぇ~そういう時代背景で作られたこういう話だったのか」という感じで為になりました。

ですが、私はどちらかというと後半の節の作文教室と創作方法やユーモア文学論の方が笑えてそれで納得できて面白かったかなと思いました。

ちなみに最後のあとがきに清水先生は「読者の中に、何か読んでみたくなったなあ、という人が一人でもいてくれることを、私はひたすら願っている。」と書かれておられるのですが、

私はむしろ小説を書きたくなりました(笑)

そんな、わかりやすく愉快な本ですので、お勧めです!
(ちなみに今実際に小説の構想を練っていたり・・・完成するといいなぁ)


著者をWikipediaで調べる→清水義範W
筑摩書房 本書紹介ページLink

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書 712)Link

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