~あらすじ~
私は冴えない大学3回生。
バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。
悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。
(Amazonより)
私の評価:
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~感想~
本書の読後の感想については本書の終りにある
佐藤哲也W氏の解説が素晴らしいので、読後の調味料となる事でしょう。そんなわけで、私は読前の方に向けた感想を書くこととします。
私が四畳半神話大系をこの時期に読むということは、当然ながら本書が現在アニメ化されて放送中である事と関係、いや直結しています。そんなアニメの影響を受けた元で読み始めた私でありますが、第一印象は、独特の、いかに表現豊かにして長ったらしく書こうか考え書かれたような主人公「私」の心理描写が読み疲れるというものでした。アニメ自体が小説をそのまま持ってきたかのような主人公のセリフ地獄なわけですが、それを分かっていても私には読みづらく感じたので、原作に手を出したのは間違いかとも感じました。まあ慣れでどうにかなるものです。(笑) 慣れると独特の言い回しが面白いかはともかくとして興味深く、なるほど、そういった表現方法もあるかと感じる楽しめるようになりました。なので、結果としてはアニメ放映中に本書を読み終えられたことは良かったのではないのでしょうか。アニメのセリフ自体はほとんど変わりませんが、省略されていたり、面白く改変されていたりするところが見られ、原作とアニメの相違が分かると言うのも面白いものです。
さて、本書は1話完結の4話構成となっており、各話の主要な登場人物に代わりはなく、舞台設定も基本的に同じです。では、各話でどのような差異があるのでしょうか。
それは主人公のif、もしあの時、数ある選択肢から別を選んでいれば、人生が違ったかもしれない、という誰もが一度は考えたことのあるようなテーマを持とに各話再構成されているます。
ifもの?と言えば良いのでしょうか、もしも…という話の発想自体は何も新しくはないとは思うのですが、京都、古めかしい寮、そして堕落した実りの無い学生生活という設定が融合され、著者が書く独特の描写により、物語が洗練され、舞台のもととなった場所、京都に行きたくなるような、行って確かめたくなるような世界観が構築されているのです。こんな主人公の境遇にはなりたくないと思いつつも、惹かれる部分はあると思うのです、甘酸っぱいどころか、酸っぱいだけの現実的青春ストーリーな気もするのですが、私はそこが一番の魅力だと思うのです。
人生何をやっても同じなのか、勇気を出したら違うのか、それは本書を読み、是非考えてみて下さい。
~余談~
私自身の学生生活と比べて共感する部分も多く、私が学生生活について突っ込みたいと思うところに対して主人公が代弁してくれていることに驚きを感じつつも、かゆいところに手が届く、そんな感じを受けてとても面白くも感じました。そういう意味では実りの無い学生生活を送られた方にはうってつけの小説と言えるのかもしれません。(笑)
ちなみに私は4話中2話目が一番好きだったかなと思います。それは一番終わり方が好きだったからかでしょうか。4話も好きです。ただ、4話は最終話であり、面白いのですが、それまでの3話あっての最終話なので、いいとこ取りしていたり、いきなりSFが入ったりしているのが感じが好きとも嫌いとも言えないので、2話が一番ということで。
アニメ版公式サイト
Wikipediaで著者について調べる→
森見登美彦W
小説
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