対決-巨匠たちの日本美術、シャガールからマレーヴィチまで 青春のロシア・アヴァンギャルド、フェルメール展を見てきました

タイトルの展覧会の順は良かったと感じた順です。

まず、最初に東京都美術館Linkフェルメール展Link (会期:2008年8月2日~12月14日)を見てきました。全38作品中、フェルメールの作品は7点で、そのうち5点は日本初公開の作品となっています。本当は『絵画芸術』Link も来る予定でしたが状態の悪化が懸念されるため見送りとなったとの事ですのでそれを目当ての方は残念かもしれません。しかし、私にとってはフェルメールの絵は一度も実際に見たことがなかったので、これだけのフェルメール作品を見ることが出来る良い機会でした。
9時過ぎに入ったのですが、それなりに混雑はしていましたが、それほど苦無く普通に見て回れたのではないかと思います。約1時間ほどで見終わりました。

内容につきましては正直なところ私にはあまり良さが伝わってきませんでした。確かにどの絵も綺麗でフェルメールの『マルタとマリアの家のキリスト』Link などは陰影が良く現れていて良い作品だとは思ったのですが、どうも面白さに欠けていて残念ながら心に来る物はありませんでした。ですので画集は購入せず前述した『マルタとマリアの家のキリスト』のポストカードのみ購入しました。また、ポストカードはフェルメールの作品しか売られてなく、他の画家の作品でいくつか欲しい物もあったため残念でした。

次に同じ上野公園内のすぐ近くにある東京都国立博物館Link へ行き、対決-巨匠たちの日本美術Link (会期:2008年7月8日~8月17日)を見ました。
時間は10時半頃だったでしょうか、会場に入った直後は3重の行列となっており混雑していて、なかなかゆったりと見られる感じではありませんでしたが、約1時間20分ほどで見終わりました。内容につきましては展覧会のタイトルに『対決』と銘を打っていることもあり22名11の対決、対比という構成で展示物が配置されていました。せっかく対決となっているのですから、私なりにこの対決に勝敗を付けてみたいと思います。(赤文字が勝者)

運慶 VS 快慶
像はあまり良く分からないのですが、運慶の地蔵菩薩像の方がどっしりとしていて良いと感じました。

雪舟 VS 雪村
まず、歴史の教科書でも見かける雪舟の『秋冬山水図』Link 、これは一度は実際に見てみたいと思っていましたが見ることが出来てすごい良かったです。しかし、雪村の絵も美しいのです。また、雪村の『蝦蟇鉄拐図』(がまてっかいず)Link がすごい! この絵はなんと面白いのだろうと。どちらも素晴らしかったのですが、この奇特な絵に心を持って行かれたので雪村を勝者としました。

永徳 VS 等伯
大胆な狩野永徳と繊細な長谷川等伯、どちらも好きなのですが、私は等伯の方が心打たれたかなと思いました。ちなみに期間内の展示入れ替えで等伯の『松林図屏風』Link が見られなかったのが非常に残念でした。

光悦 VS 長次郎
わび数寄、茶碗対決ですが、正直私にはなかなか茶碗は難しい。いびつな形に惚れるというものが無いのでどっちもどっちという感じでした。年を重ねれば分かるようになるものでしょうかね…。

宗達 VS 光琳
これは別の意味で甲乙が付けられませんでした。どちらも良い作品もあればそれほど…と思う作品もあったためなのですが、何でしょうね、両者共に全体的に彩が無いと言いますか、褪せている印象を受けました。元はもっと綺麗だったように思えるのです。ですので、両者引き分けとしました。

仁清 VS 乾山
こちらは陶器対決でも絵が描かれているのと形も整っているため良さが分かりました。(笑)
どちらも今普通に使っても充分に使える美しい絵、実用性のある形であると思いました。これは迷うところなのですが、若干の差で仁清に軍配が上がったかなと言うことで仁清にしました。

円空 VS 木喰
木彫り対決です。荒削りな円空に対して丸彫りで滑らかな木喰、これは単純に木喰の方が美しいかなと言うことで木喰としました。

大雅 VS 蕪村
どちらも良い南画を描かれているのですが、私は蕪村の方が味があるかなと感じました。

若沖 VS 簫白
これは奇想天外で何と美しい! まさに展覧会の目玉と言っていいと思いました。どうしてこんな絵が描けるのだろうかと両者共に息を呑み心躍らされる作品ばかりでした。悩むところですが、私は若沖の美しさをとってみました。

応挙 VS 芦雪
芦雪は応挙の弟子という師弟対決ということで、まず両者共に虎を描いているのですが、どちらの虎も迫力がありながら何故かかわいいのです。これがまたいい。 しかし、特筆すべきは芦雪の『山姥図額』、この山姥の迫力はすごいものがあり、山姥なのに格好良くさえ感じました。なんでしょうね、このにじみ出るオーラは…いや~良い作品でした。と言うわけで私は芦雪を選びました。

歌麿 VS 写楽
どちらの絵にも特徴があり比べると面白いのですが、やはり美人画は歌麿にはかなわないなぁと思いましたので歌麿にしました。

鉄斎 VS 大観
両者、富士山の対決となりましたが、私としては圧倒的に鉄斎の方が味があると思いましたね。ただ、これは大観の別の作品ならばまた違ったかもしれません。今回展示された大観の富士山は単純すぎると思いました。

とこのような感じで勝敗を付けてみました。見てこられた方は私の勝敗の付け方と比べて、これはこちらが勝者だろうとか、これには同意だとか思いながら読んでいただけたら幸いです。
ちなみにこの展覧会については前述の通りかなり混雑していてなかなかじっくりと見て回れなかったので画集を購入しました。もちろん展覧会自体が素晴らしかったため購入したした事は言うまでもありませんが。
また、東京都国立博物館は初めて訪れた事もあり、本館の通常展と東洋館をゆっくりと見て回りました。やはり像や陶器、書などはなかなか私には良さが分かりにくいものではありましたが、刀や甲冑、兜など戦の装飾品などには心惹かれましたね。なかなか面白かったです。ちなみにこちらもでも絵を見ることが出来ましたので今回東京都国立博物館へ足を運んで本当に良かったと思いました。そう言えば本館は外人の観光客が多く見受けました。観光コースにでもなっているのでしょうかね。また機会があれば是非行ってみたいと思います。

次に上野を離れて渋谷のBunkamuraLink青春のロシア・アヴァンギャルドLink (会期:2008年6月21日~8月17日)を見に行きました。こちらは上野の二つと違ってすごい空いていてゆったりとじっくりと見ることが出来て良かったですね。69点を1時間20分ほどで見て回りました。

内容につきましてはモスクワ市近代美術館の所蔵作品をまとめて紹介する日本で初めての展覧会と言うことで期待していましたが、これはなかなか面白い展覧会だったなと思いました。ロシア革命がひしひしと迫る1910年代からソ連体制が敷かれるまでの10数年という間に描かれた前衛的(アヴァンギャルド)な作品群です。
目玉としてはやはりシャガールかなと思いましたが、どれも意欲的で面白い作品ばかりなので飽きなかったですね。私の一番はボリス・アニスフェリドの『シェラミの娘』Link 。毒々しい色遣いながら素晴らしい妖艶さに心奪われました。これがポストカードで売られていなかったのは残念でなりません。
また、20年代以降のつまりはロシア帝国からソ連へ移行してからの作品もあったのですが、こちらは色々と考えさせられましたね。共産主義というのは個性を廃し、こういった前衛的な絵を嫌い、共産党は画家にプロパガンダ的な絵を描かせるであろう事が目に浮かび、こういった社会の流れに画家もまた翻弄され亡命した画家もいれば、ソ連で頑張った画家もいたわけですが、私が見た感じではソ連でなくなった画家の方が亡命した画家よりも短命な方が多い印象でしたので、どのような死因かまでは分かりませんが確実に共産主義は画家の自由を奪い、その結果命も縮めたのだろうなと思いました。そういった歴史の流れも垣間見ることが出来て大変意義のある展覧会であったと思いました。ちなみに購入したポストカードは2枚でシャガールの『ヴァイオリン弾き』とイヴァン・マリューティンの『タバコを吸う人物』の2枚です。

と3展覧会について書き終わりましたが、これ実は国立博物館の所まで書いて1度手違いと言いますか、ブログシステムのせいといいますか、全部消えてしまい、かかった約1時間が水の泡となり、2度書いたわけです。1度書けば2度目は楽かと思われるかもしれませんが、ところがどっこい、気が抜けてしまい、なかなかまた書く気にはなれませんでした…。ですが、手を抜いたつもりはありません。(結構1度目とは良い意味でも悪い意味でも文章に変更はあると思いますが。) これからは長文を書くときには気を付けたいと思いますが、本当に今はやっと書き終わったという達成感でいっぱいです。(笑)
自分にお疲れ様。

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