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11:14

~あらすじ~
11:14、それぞれ別々の場所で起きた事件、それらは3つのショートストーリーのように見えるが、実は複雑に絡み合っていて、情報が刻々と鮮明となっていき3つから5つへと展開される。
そして、それらがやがて1本の線へと繋がれる・・・
時系列を巧みに操ったサスペンス。

私の評価:

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~感想~
これは巧いなぁと思いました。おそらく、普通に時系列通りに話を進めたら全く面白くはないでしょう。冷静に考えればストーリー自体は偶然に偶然が重なったというだけのものなのですから。時系列をバラバラにして流す情報を制限して刻々と少しずつ全貌が分かっていくことに、この映画の面白さが詰まっていると思いました。

この映画を一言で言えば「因果応報」という言葉がふさわしいのではないでしょうか。

あまり話すと、いえ話せば話すほどこの映画の面白みは減ってしまうので内容についての言及はしませんが、最初、話がぶった切られて別々の話のような形で進むので色々と疑問が頭に浮かぶのではないかと思います。私自身、ある部分で展開が急というかよく意味が分からなくなったので重要なシーンを見逃したのかと思い、巻き戻してみたほどです。もし、そのような状態に陥ったとしても問題はありません。ストーリーが進むことによりその疑問を解決していきます。暗くて分かりにくかったり、分かりにくい作りだと思っても、それはちゃんと考えて「わざと」情報を制限しているだけなのですから。

余談ですが、あの腹上死?事故?は笑えました。それと、サスペンスと言うことで多少グロテスクな面もありますが、痛々しくも半分コメディ的な要素も含まれていますので、それほど怖がる必要はないかと思います。あと、最後に、時間も長すぎず短すぎず綺麗にまとめられているというのが良かったですね。


11:14Link

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明日へのチケット

~あらすじ~
ケン・ローチ、アッバス・キアロスタミ、エルマンノ・オルミという3人の高名な監督による物語を1つの感動作にまとめあげた! ローマ行きの特急列車に乗りこんだ初老の大学教授、目的なく日々を過ごす若者、待望のサッカーの試合を見に行く少年たち。それぞれの愛、不安、希望を胸に新しい未来へ旅立っていく。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
良い意味で「つまらなくはない」映画です。では面白いのか、それは何とも言えない、そんな印象です。この映画はあらすじにもあるように3人の監督が同じ列車に乗り込んだ人々の物語をそれぞれ別の人物を主人公として撮られたオムニバス映画です。(よく見るとちゃんと3つの話には列車以外に接点があります)

私の3作品に順位を付けるならば
3作目(サッカー少年たち)>2作目(兵役義務でおばさんの手伝いをする青年)≧1作目(大学教授)
といった感じです。

どれも最後はハッピーエンドの話(2作目はハッピーエンドと言えるか微妙ですが)で、どれも笑えたり、笑顔になれる作品となっていて、ゆったりのんびりと言った要素を求める方にはお勧めなのではないかと思います。またどの作品からも近年のヨーロッパ・イタリア事情が垣間見えますので、そこも注視すると、より面白いのではないかと思います。

ただ、私もよく知らなかったのですが、日本でも911以降検査が厳しくなりましたね。イタリアでは列車でもテロへの警戒が厳重なようで1作目ではその様子が映されたり(この列車は国境をまたがる電車なのでそうなるのは当たり前かもしれませんが)、1作目と3作目では難民が多いのかその様子が描かれています。舞台はローマ行きの列車なのでそこら辺のイタリア事情を知っていると、より楽しめるかもしれません。


明日へのチケットLink

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クリムト

~あらすじ~
劇場大ヒット! 19世紀末のウィーン。エロスを究極の美に昇華させた天才画家がいた。 「エロス」と「タナトス―死―」をテーマに描く究極の愛。 クリムトと旅する、絢爛豪華なウィーン世紀末―。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
正直、人には勧められない映画です。
何故なら、何を伝えたい映画なのかサッパリ分からないためです。私はクリムトの作風を知っている程度で、実際に作品を見たことはなく、一度見てみたいという思いがあったので、この映画でクリムトの半生を知ることが出来たら良いなという思いで見てみたのですが、失敗だったようです。(笑)
というかこれ、クリムトが好きな人ならば理解できるのでしょうか? そんな風にさえ感じられました。

ただ、クリムトを演じられているジョン・マルコヴィッチWをはじめ、役者陣の演技は良かったと思いますし、クリムトもその友人である画家のシーレも本人の写真と比べると結構似ています。

見所はエロス! これに尽きるのではないでしょうか。主にヌードモデル役で、かなりの方の裸を堪能できますので。(笑)
ストーリーは時系列がバラバラで入り組んでいて、どこまでが時系列で動いていて、どこからが病床に臥して昏睡状態のクリムトの回想なのかが良く分からないので正直、雰囲気を楽しんでくださいというのと、やはり、ある程度は予備知識がないと厳しいものがあると思います。

ということで、クリムト好きにも勧められるのかさえ微妙な映画でした・・・


Wikipediaでクリムトを調べる→グスタフ・クリムトW
Wikipediaでシーレを調べる→エゴン・シーレW
Wikipediaでクリムト(映画)を調べる→クリムト (映画)W

クリムト デラックス版Link

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デイ・アフター 首都水没

~あらすじ~
異常気象により発生したハリケーンとも言えるものの影響により高波と洪水でイギリス北部を襲い、やがて首都ロンドンへと猛威を振るった。それによりテムズ川を水害から守るはずのテムズ・バリアさえ決壊してしまい、ロンドンを水没させてしまうのだった・・・

私の評価:

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~感想~
こういった災害において、1分1秒の対策の早さの差異は大きく、これは日本でも充分に考えられることであり、自然は恐ろしいということを再認識させられました。

劇中では気象庁の予測の誤りが大惨事になる要因となっており、一度は政府発表としておそらくハリケーンは北海へ抜け危機は去ると宣言したのですが、引退した気象水害研究者の教授がそれを予見して気象庁と副首相(首相はシドニーへ訪問中)へ掛け合い、ようやく事態の重大さに気付き、ロンドンに非常事態宣言を発令し、緊急避難が始まったのです。当然、ロンドンはパニックとなり、交通網は麻痺、発令してから洪水が押し寄せるタイムリミットまでの時間が短かったために多くの人命が失われることとなりました。

そう考えると、気象庁の失態は大きすぎるものなのですが、引退した教授しか予見できなかったのも、いかがなものなのだろうと思いました。

ストーリーは北部での高波からロンドンへの被害まで、そしてそれを食い止める、あるいは救助にまわるといった流れです。主人公は気象庁に勤める?前述した教授の息子で、舞台は副首相と気象庁長官らが詰める対策本部と洪水をせき止めるはずだったテムズ・バリアとなっています。
そのストーリーの中で当然人間ドラマが展開されるわけですが、主人公と教授の間には長年にわたる亀裂が生じていたり、主人公と離婚した元妻はテムズ・バリアで勤務していることもあり、それらの人間模様が描かれています。
これについては中途半端感が否めず、何だか納得がいかない展開であったように思えます。また、終盤によく映画でありがちな「選択」に迫られる場面があるのですが、もっと良い策を取ることは出来なかったのかという疑問も浮かび、正直、緊迫があまり感じられませんでした。

そういうわけで、見所はやはり波や洪水の迫力のCG映像となってしまうのではないかと思います。

余談ですが、私自身、家が川のすぐ横にあるため、あんな洪水になったらうちは一発だな…などとも感じました。私が生まれて以来川が氾濫したということはないようですが。


デイ・アフター 首都水没 完全版Link

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セイヴィア

~あらすじ~
主人公ギイはイスラム原理主義者のテロにより妻子を失った。それにより理性を保てなくなり、テロ現場近くのイスラム教寺院の信者が犯人だと決めつけ、そこへ乗り込み礼拝していた信者を皆殺しにしてしまう。ギイは政府関係の仕事に就いていたため、その繋がりにより?罪を免れる代わりに訓練を受け、内戦状態のボスニア・ヘルツェゴビナへ派遣され、セルビアの外人部隊へ入隊する事となったのだった。

私の評価:

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~感想~
本作は会員のENZANに勧められて見ることにしたこともあり、私は見始めから何だかかったるそうな映画だなと思っていましたが、開始わずか数分でテロで妻子を失う事に驚きつつも、その辺から引き込まれていきました。犯人がイスラム原理主義者である目星はついていたようですが、襲撃して皆殺しにしたイスラム寺院の人が本当に犯人だったのかどうかについては触れられていません。どちらにしてもいくら妻子を失ったとはいえ急な行動には見えたのですが、別の見方をすれば人間の憎悪と言うものは恐ろしく、こうも簡単に行動をしてしまうという事を示しているのかもしれません。

そして、ここら辺もあまり詳しく触れられていないのですが、おそらく裏取引による刑罰免除で傭兵として鍛え上げられ、名前も変えて新しい人物として、内戦中のボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア軍の外人部隊へ派遣されます。そこでは他勢力による蹂躙、また自勢力による蹂躙も行われ、子供までもが内戦の道具とされるひどい内戦状態、まさに悪夢と言える惨状でした。

本作ではほとんど報われる、救われるような展開はなく、そう言ったことに期待してはいけません。なんの躊躇もなく惨殺されたり、人が殺されていきます。本当に最後には報われるというような甘い映画ではありません。ですので、暗く地味な印象を受けると思います。しかし、そのように明るい要素をほとんど排す事により、生々しく、リアルさが良く現れているのではないでしょうか。

戦争の悲惨さ、宗教、民族対立の無意味さといったものが痛烈に伝わってきます。
そして、何のための、誰のための戦争なのかという問いが浮かんできました。

この映画はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争Wを元に作られており、私は当時小学生であり、そう言ったことがあったなぐらいにしか記憶になく、コソボ紛争WのNATOによる空爆は結構記憶には残っていますが、いまいち良く分からなかったのです。しかし、これが調べてもセルビア、クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナなど多くの国、民族が関係しているためになかなかこの一連の紛争から独立までの流れをつかむのは難しく、出来ればもう少し調べて関係を理解できればと思っています。そういった意味では、その流れを理解している方であれば、より視野を広くしてこの映画を見ることが出来のではないでしょうか。

私は基本的に「楽しい」映画の方が好きですが、こういった映画を見るのもたまには悪くなく、様々なことを考えさせる良い映画だと思いました。


セイヴィアLink

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