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アンドリュー・ワイエス死去に対して

アメリカの原風景描き続け、アンドリュー・ワイエス氏死去 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)Link

去年の12月12日LinkBunkamuraLink で、この方の展覧会を見てきたばかりでしたので、91歳という高齢ではありましたが、訃報を知り驚きました。会場で流れていた展覧会に対するインタビュー映像では91歳とは思えないほど元気に喋っておられて、作品の印象と比べてると映像のワイエスはエネルギーが溢れていて、そのギャップ驚き、まだまだ精力的に活動されるだろうと思っていただけに残念です。

ご冥福をお祈り致します。

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レオナール・フジタ展を見てきました

上野の森美術館



上野の森美術館で開催中のレオナール・フジタ展Link を4時20分から1時間40分ほど見てきました。混み具合はこの展覧会の前に行ったワイエス展Link よりも空いていて、かなり見やすい感じでした。
ちなみに上野の森美術館は始めて行きました。

初期から晩年の作まで展示されていて、第二次大戦中の戦争記録画が無かったのは残念でしたが、充分満足できる展覧会でした。

私にとっては藤田嗣治の作品、「カフェにて」Link ほかを去年、国立新美術館で行われた異邦人たちのパリ 1900 - 2005Link で初めて触れて以来、多くのフランス人が乳白色に魅了されたように私も魅了されて藤田嗣治の印象は脳裏に残っていました。
そして、今回、その藤田嗣治の展覧会という事で逃すわけにはいかないと言う事で足を運んだ次第です。

この展覧会の目玉は80年ぶりに発見され、80年ぶりの里帰りである構図の連作と 最初で最後の日本公開と言われている争闘の連作の巨大な計4作です。まず、その巨大さに圧倒され、どれも美しいです。争闘など題名の通り凄まじいわけですが、なんだか何を伝えたいのか、よく分からないんですよね。(笑)
その対比から天国と地獄、そんなようなものが伝わってくるのですが、どうも個々の人を一枚の大きなキャンバスに集合させただけ、そんな印象も受けます。

私はどちらかというと晩年の宗教画が好きだったかなと思いました。「イヴ」、「花の洗礼」など本当に美しく、心奪われました。そうかと思えば、この世の終末である3枚の「黙示録」など、その細密さに圧倒されて、どこを見ればよいのかと言葉を失うほどでした。また、「十字架降下」や「聖母子」などは、背景が金?であり、どことなく和を感じさせ、面白く、藤田嗣治らしい宗教画だなと思いました。あとは、やはり藤田=猫と言われるだけあっては猫は良いですね~。かわいいものから躍動のある表情のこわばったものまで様々なものがありましたが、どれも生き生きとした感じが伝わってきました。

意外で衝撃を受けたのが、「アージュ・メカニック」、子供が様々なおもちゃで遊んでいる絵なのですが、こんな絵も描いたのかと、良い意味で全作品の中で浮いた存在に見えました。新たな一面を見る事が出来た、そんな気がしました。

また、他にもアトリエの道具や自作の陶器、家具などの展示、晩年の念願だった教会建設の様子、上で述べた「構図」、「争闘」の修復の様子の映像などがあり、全体を通して飽きる事のない、ボリューム満点の展覧会で、私にとって久々に全てに満足できる展覧会だったと感じました。そして、図録も会場を回っている途中から絶対に買おうと思うほどで、迷い無く購入しました。

本当に良かったです! 藤田嗣治に興味がある方は足を運ばなければ損であることは間違いないでしょう。

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セザンヌ主義―父と呼ばれる画家への礼讃を見てきました

横浜美術館正面



横浜美術館Link で開催中のセザンヌ主義―父と呼ばれる画家への礼讃Link を見てきました。

帽子をかぶった自画像
帽子をかぶった自画像


「近代絵画の父」として知られるポール・セザンヌW、その画家の描いた絵は、象徴主義Wナビ派WフォーヴィスムWキュビスムWエコール・ド・パリWなど様々な画家に影響を与えました。
それは日本においてもそれは例外ではなく、洋画家はもとより、日本画家にも波及しました。
セザンヌの絵を中心に、そんなセザンヌ主義とも言えるセザンヌの影響を受けた画家らの絵を交え、その波及と足跡をたどる展覧会です。


以前から他の展覧会でセザンヌの絵をふれてきて、セザンヌの絵は自分には向いていないなと薄々感じていたのですが、今回のセザンヌを中心とした展覧会を通して、はっきりしました。

現時点では自分にセザンヌの絵を受容できる、良いと思える感性がない

と。(笑)
あえて言うならば、風景画、とりわけセザンヌがアトリエを構えたプロヴァンスの絵は割と好きかなと思います。

だからと言ってつまらなかったというわけではありません。
この展覧会の趣旨の1つであるセザンヌが与えた影響を知るという点では、みんな、影響受けているんだなぁ、確かに似ているなぁと、そういうものがはっきりと感じる事ができました。特にピカソらを代表とするキュピズムなんて最初は本当にセザンヌの影響なんてあったのだろうか、と疑っていたのですが、本当にあったんだなぁと今回の展覧会で感じ取ることができて良かったです。

私がこの展覧会で見ることができて良かったと思った作品は安井曾太郎Wの『婦人像』、これは以前テレビで見てから見てみたいと思っていました。私はまさかこの絵が展示されているとは知らなかったため、嬉しかったです。
また、ナビ派のモーリス・ドニWの絵も明るい、黄色がいいなと思いました。あと、おもしろかったのが日本画でセザンヌの影響を受けた小野竹喬W。日本画なのにセザンヌを感じるという違和感が良かったです。

とまあ私の感じた見所はこんなところでしょうか。

月曜の3時過ぎから見ましたが、まあ比較的少なくゆったりと見れた感じですね。1時間20分ほどで見回ることができたかと思います。

ちなみに横浜美術館に行ったのは1年ぶりです。
シュルレアリスムと美術-イメージとリアリティーをめぐって展を見てきましたLink
個人的にはやはりシュルレアリスムみたいな普通じゃない絵の方が好きかなと。

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「大琳派展-継承と変奏-」、「スリランカ―輝く島の美に出会う」を見てきました

展覧会の看板



東京国立博物館Link で開催中の大琳派展-継承と変奏-Linkスリランカ―輝く島の美に出会うLink を見てきました。

まず、大琳派展を14時25分頃より見始めました。前回来た時にやっていた対決展Link よりは空いていましたが、それでも結構混んでいた印象です。

俵屋宗達と尾形光琳の作品は対決展で対比という形で初めて見て、私としてはそれほど感じる物がなかったのですが、東京国立博物館の年間パスポート(6回分)をある事で手に入れていたため、なるべく使わないともったいないと思い、偶然、平日の午後に暇ができたので、これはチャンスと思い、見てきた次第です。

さて、内容についてですが、この展覧会では、琳派Wと呼ばれる作風、手法が似ている芸術家たちの作品が一堂に会し、俵屋宗達W本阿弥光悦W尾形光琳W尾形乾山W酒井抱一W鈴木其一Wといった感じで時代の流れとともに展示されています。

基本的に宗達と光琳の作品は残念ながら屏風という保存が難しい?作品が多いためか、どれも状態劣化、色が褪せているなどがあるので、作品が出来上がった当時に見ることができたら美しい感じだったのだろうなと思いました。逆に今の状態で見ることで落ち着いた、深みのある印象を受けて良いと思われる方もいるかもしれませんが、私はやはり目に見える劣化した作品をあまり良いとは思えません。

また、私には茶碗や文筆の良さが分からないので、そういった作品もあまり楽しめませんでしたね。そうなると、楽しめる作品は限られてくるわけで、私としては一番新しく、状態も良い、鈴木其一の作品が一番堪能できたと感じました。秋草・月に波図屏風は圧倒的な繊細さで美しいですし、雨中桜花楓葉図は葉のグラデーションが美しくクリーム色の背景との対比で映えていて、しんみりと来て良かったですね。また、燕子花図屏風の花の深い藍色から、もの悲しくも力強く印象的でした。

だからといって、興味のない作品はさっと通り過ぎたわけではありません。全作品の題名と説明文を読んである程度眺めて回りましたし、もちろん、宗達と光琳の作品で良いと思うもの、面白いと思うものもいくつかありました。

まず、目玉の一つである宗達、光琳、抱一、其一の4人の風神雷神図、これは私は一番、宗達のものが重厚な雰囲気が出ていて良いと感じました。宗達の双犬図や光琳の竹に虎図など動物を主題とした作品は他の作品とは一風変り、漫画っぽさを醸し出しているのが可愛く感じたり、宗達の白象図杉戸なんて、これはないだろうと笑ってしまいつつもユニークで面白い絵でした。

私が全体的に感じたことは四季の変化を巻物に描いたものがあったりしたのですが、どれも秋~冬あたりが好きだったことです。今の季節だからというのもあるかもしれませんが、その部分が心に深く感じるものがありました。

見るのにかかった時間は約1時間25分ほど。私と同じぐらいに見終えた老夫婦は2時間ほどと言っていたので、混雑という状況では別ですが、ある程度の混み具合でゆっくり見るとそのぐらいになるのではないでしょうか。


次に「スリランカ―輝く島の美に出会う」を見たのですが、その展覧会がやっている表慶館に入ったのが16時過ぎで「17時で終了ですが、どうしますか」と言われたのですが、折角来たことだし、人入りも少ないだろうということで入りました。だいたい客がおそらく館内に10人ほどだったのではないかと思います。そのため、時間を気にしつつ、長い説明文はさっと見て面白い作品はそれなりにじっくりと見て回りましたが、50分もかからずに回れました。そのため、もう少しゆっくり見ればよかったかなとも思いもしました。

私はこのスリランカ展にほとんど期待などしていなかったのですが、これが思いのほか面白い。人が少ないため、ゆとりをもって見て回れたことも、そう感じた理由にもなるかもしれませんが、面白い。

仏像なんてどれも同じような格好だと思いがあったのですが、モデルみたいなポーズをしたものなど結構面白い体制の仏像が多く、これには驚きで、その仏像自体の出来もどれも素晴らしく、スリランカは未開の地のような印象だった私にとっては衝撃でしたし、小さい仏像など格好よくて、私が集めているフィギュアのように是非、家に飾りたいなんて思うものもありました。(笑)

また、装飾品、道具など当時、王宮で使われていたものも興味深いものが多かったですね、装飾品などきらびやかで精巧な作りでしたし、面白いというものでは便器や耳かき、浣腸器などバリエーションに富んだ展示となっていました。

そんなわけで、大琳派展はまあそれなりに(鈴木其一に興味を持った)、スリランカ展は意外に面白かった。そんな印象を受けた2つの展覧会でした。

大琳派展-継承と変奏-
会期:2008年10月7日(火)~11月16日(日)(月曜休館)
東京国立博物館のサイト内のページLink
展覧会専用のページLink

スリランカ―輝く島の美に出会う
会 期 2008年9月17日(水)~11月30日(日)(月曜休館)
東京国立博物館のサイト内のページLink
展覧会専用のページLink


白象図杉戸
白象図杉戸

竹に虎図
竹に虎図

燕子花図屏風
燕子花図屏風

雨中桜花楓葉図
雨中桜花楓葉図

秋草・月に波図屏風
秋草・月に波図屏風


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五姓田のすべて -近代絵画への架け橋-展を見てきました

神奈川県立歴史博物館入口前



神奈川県立歴史博物館Link で開催されている五姓田展Link を見てきました。今週の金曜までということで、あわてて行ってきたような感じです。ちなみに、神奈川県立歴史博物館は初めて行きました。横浜からみなとみらい線の馬車道が最寄り駅なのですが、往復360円をけちるために横浜から30~40分ほど歩きました。まあいろいろ周りを見ながら歩けたのでよかったのではないかと思います。

さて、この五姓田展ですが、私が毎週録画して見ているNHKで放送中の新日曜美術館の最後でやっているアートシーンLink で知り、興味をもったので行ってきた次第です。美術館情報は結構事前に調べてたりするのですが、博物館系はあまり興味がないので見逃してしまうことが多く、知ることができてよかったです。

内容について、博物館のページを見ていただければ分かりますが、五姓田派というのは横浜が開港して、それ同時に多くの西洋文明が日本に入ってきました。その中に洋画があり、それに関心を持ち積極的に自分のものにしようと取り込んでいった画家たちで、洋画界のさきがけと言えるのではないでしょうか。

和洋折衷と言う言葉がありますが、まさにその言葉がピッタリな展覧会で、洋画なのに日本、良くも悪くもそれまでの日本画とは違い、リアルな日本を描いているという印象でした。洋画のさきがけということで今からすれば未熟に見える作品も見受けられましたが、こうやって日本の洋画、洋画教育は開花していったのだと言うものを肌で感じ取れたのが良かったです。またいくつか、私が好きなギャグのような面白い絵やすごい細密描写の絵とも出会えたのも良い収穫でした。

ただ、難点を言うと、私はこの博物館へ足を運んだのが初めてなので他の時がどうなのか分かりませんが、照明が他の美術館と比べて明らかに暗いという点です。別に見ること自体には支障はありませんが、作品の劣化防止という事を考えても暗い感じがしました。(笑)
また、これはいつもどの展覧会でも毎度ながらに思うことではあるのですが、ポストカードをもっと充実させて欲しいということですね。ちなみにこの展覧会ではどうやら他の美術館から引き取ったポストカードが売られていました・・・ひどいのは郵便番号5ケタのポストカードがあったということ、これは5ケタということで通常100円のところ、50円でしたがいったい何年前だよと。(笑) (調べたところ98年らしいです。10年前・・・)

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