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初恋彗星

~あらすじ~
ある夜、逢坂柚希は幼馴染の紗雪と共に、重大な罪を犯そうとしていた舞原星乃叶を助ける。彼女は紗雪の家で居候を始め、やがて、導かれるように柚希に惹かれていった。それから一年。星乃叶が引っ越すことになり、次の彗星を一緒に見ようと、固い約束を三人は交わす。しかし、星乃叶と紗雪には、決して柚希に明かすことが出来ない哀しい秘密があって…。精緻な構成で描かれた、狂おしいまでのすれ違いが引き起こす、『星』の青春恋愛ミステリー。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
嘘と知るのが怖かった。そう思います。
読み進めて行くとなんだか、どことなく不安な違和感を覚えます。
その違和感が解消されたとき、良くも悪くも、読むペースが早まりました。
それが、この物語の真のスタートであり、一番心震わせる部分なのではないかと私は感じます。

ただ、そこまでの道のりが退屈でした。
物語が主人公たちの小学校時代からはじまるのですが、行動はともかくとして、言葉がところどころ妙に大人びていて、あまり納得できません。これをどう捉えるかは人それぞれであると思うのですが、現実はともかくとして物語の中ぐらいは、子供らしい子供という像を私は求めてしまうようで、それほど真剣には読めませんでした。しかし、主人公たちの小学校時代を否定するわけではありません、小学校時代という土台が無ければ、この物語は成立せず、純粋なる感動という気持ちを持つことはおそらく無かったのですから。

まあ素直に、純粋に読みましょう。そうすればきっと純然たる感動することができるでしょう。

~余談~
私は著者である綾崎隼さんのデビュー作、蒼空時雨を3月に読みました。私は蒼空時雨の方が好きです。それはストーリー要素、キャラクター要素の違いかと思います。構成としては2作読んで、主人公視点一辺倒でなく、他の主要キャラクターの視点を入れているところ、ストーリーの落差が激しいところが共通点のように思います。もっと広く見れば恋愛ものという点も挙げられますが。そして、舞原という姓の設定でスターシステムをなにげに導入されているようですね。次作でも舞原という姓のキャラクターが登場するようで、結構楽しみであったりします。また、カバーそでにある著者紹介でサッカーについて触れたと思いましたら、最後の方まで続く話題だったとは思いもしませんでした(笑)


著者公式ブログLink

初恋彗星 (メディアワークス文庫)Link 初恋彗星 (メディアワークス文庫)Link
綾崎 隼

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売り上げランキング : 8873
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四畳半神話大系

~あらすじ~
私は冴えない大学3回生。
バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。
悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
本書の読後の感想については本書の終りにある佐藤哲也W氏の解説が素晴らしいので、読後の調味料となる事でしょう。そんなわけで、私は読前の方に向けた感想を書くこととします。

私が四畳半神話大系をこの時期に読むということは、当然ながら本書が現在アニメ化されて放送中である事と関係、いや直結しています。そんなアニメの影響を受けた元で読み始めた私でありますが、第一印象は、独特の、いかに表現豊かにして長ったらしく書こうか考え書かれたような主人公「私」の心理描写が読み疲れるというものでした。アニメ自体が小説をそのまま持ってきたかのような主人公のセリフ地獄なわけですが、それを分かっていても私には読みづらく感じたので、原作に手を出したのは間違いかとも感じました。まあ慣れでどうにかなるものです。(笑) 慣れると独特の言い回しが面白いかはともかくとして興味深く、なるほど、そういった表現方法もあるかと感じる楽しめるようになりました。なので、結果としてはアニメ放映中に本書を読み終えられたことは良かったのではないのでしょうか。アニメのセリフ自体はほとんど変わりませんが、省略されていたり、面白く改変されていたりするところが見られ、原作とアニメの相違が分かると言うのも面白いものです。

さて、本書は1話完結の4話構成となっており、各話の主要な登場人物に代わりはなく、舞台設定も基本的に同じです。では、各話でどのような差異があるのでしょうか。
それは主人公のif、もしあの時、数ある選択肢から別を選んでいれば、人生が違ったかもしれない、という誰もが一度は考えたことのあるようなテーマを持とに各話再構成されているます。

ifもの?と言えば良いのでしょうか、もしも…という話の発想自体は何も新しくはないとは思うのですが、京都、古めかしい寮、そして堕落した実りの無い学生生活という設定が融合され、著者が書く独特の描写により、物語が洗練され、舞台のもととなった場所、京都に行きたくなるような、行って確かめたくなるような世界観が構築されているのです。こんな主人公の境遇にはなりたくないと思いつつも、惹かれる部分はあると思うのです、甘酸っぱいどころか、酸っぱいだけの現実的青春ストーリーな気もするのですが、私はそこが一番の魅力だと思うのです。

人生何をやっても同じなのか、勇気を出したら違うのか、それは本書を読み、是非考えてみて下さい。

~余談~
私自身の学生生活と比べて共感する部分も多く、私が学生生活について突っ込みたいと思うところに対して主人公が代弁してくれていることに驚きを感じつつも、かゆいところに手が届く、そんな感じを受けてとても面白くも感じました。そういう意味では実りの無い学生生活を送られた方にはうってつけの小説と言えるのかもしれません。(笑)

ちなみに私は4話中2話目が一番好きだったかなと思います。それは一番終わり方が好きだったからかでしょうか。4話も好きです。ただ、4話は最終話であり、面白いのですが、それまでの3話あっての最終話なので、いいとこ取りしていたり、いきなりSFが入ったりしているのが感じが好きとも嫌いとも言えないので、2話が一番ということで。


アニメ版公式サイトLink
Wikipediaで著者について調べる→森見登美彦W

四畳半神話大系 (角川文庫)Link 四畳半神話大系 (角川文庫)Link

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[映] アムリタ

~あらすじ~
天才、最原最早。彼女の作る映像には秘密があった。付き合い始めたばかりの恋人を二週間前に亡くした彼女にスカウトされた二見遭一は、その秘密に迫るが ――。
芸大の映研を舞台に描かれる、異色の青春ミステリ!
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
どこまでが映画なのだろう、映画って何だろう。

そんな風に考えてしまう物語でした。私自身、映画は暇なときに気が向いたら見る程度なのですが、今まで映画で喜怒哀楽、様々な気持ちを抱いたことはありますし、映画の歴史をたどれば今まで映画は人種性別問わずに人々に感動、また感情を与えてきたかと思います。映画の制作陣もその歴史の中で様々な試みを行ってきてこれからも新たな試みが生まれてていくのでしょう。
しかし、本書で主題となっている映画は試みとしてはあったかもしれませんが、実現の度合いで考えれば実現はしていないのではないかと思うのです。それは洗脳であったり、麻薬のような効果がある映画です、映像でも良いでしょう。
もし、そのような映画が存在したら、作り出せたとしたら・・・
映画が人々に与える影響ってどこまでだろう、有限なのか無限なのか、その核心に迫っていく物語だったと私は思います。

~余談~
久しぶりに小説を読みました。正確に言うと読みはじめました。今まで思っていた暇つぶしのためという概念は崩れないのですが、わけあって本書は2度読みました。一応名目としては1度目は楽しむため、2度目は結末を知った上で理解しながら読み直すためです。小説に限らず、同じものを何度もやる事があまり好きではない私にとって2度読んでも意外と楽しむことができた物語でしたので充分に楽しめる作品だったのであったのではないかなと思います。ちなみに個人的に読み進む勢いがついたのは後半、核心をついてヒロインである最原とある人物の関係が明らかになった所からかなと思います。それまでの話の点が線となり繋がっていくのがハラハラしつつも心を躍動させました。
しかし、こういう物語を読むたびに自身の学生生活の薄さ感じてしまうわけですが、そうは言ってももう社会人となってしまい学生に戻ることはまずないのだとしみじみ思う今日この頃です。


[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)Link [映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)Link

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シャングリ・ラ

~あらすじ~
地球温暖化の影響で東京は熱帯の都市へと変貌した。都心の気温を5℃下げるために東京は世界最大の森林都市へと生まれ変わる。しかし地上は難民で溢れ、積層都市アトラスへと居住できる者はごく僅かだった。地上の反政府ゲリラは森林化を阻止するために立ち上がった。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
小説を読んだのは実に2年ぶりとなります。(本自体は3月に読み終わりましたが今まで感想を書く時間がありませんでした。)
前回、読んだ小説はマルドゥック・スクランブルLink という本で、実は今回読んだ本と共通点があります。
それは、村田蓮爾Wさんがキャラクターデザインでアニメ化するということです。しかし、マルドゥック・スクランブルはアニメ化することなく制作会社の都合でお蔵入りとなってしまいました。しかし、今回は無事アニメ化されたということで、アニメ放送前に読み終わった私としては、一安心ではあるのですが、どうも原作改変が気にくわないのです…まあそれはまた別の話で、書評に入りたいと思います。

内容としては面白かったです。どの登場人物にも魅力があり、様々な断片が1つになっていくのがとても気持ち良かったです。なるほどそうだったのか〜!といった感じですね。

最初は炭素経済など取っつきにくい点があるかと思いますが、それを理解することはそれほど重要ではありません。私は楽しめれば多少の矛盾は気にしないというのもあるためでもあるかもしれませんが、気にさせない面白さ、雰囲気がこの作品にはあります。

私が最初に引き込まれていったところはミーコというオカマがアトラスへ行けることとなり、行った後の出来事からでしょうか、そこからこれはすごいとドンドン引き込まれて行ったと記憶しています。

ちなみに私としてはこの話の結末はまあ納得しますが、ある意味、意外でもあったかなと思いました。それは作品にグロテスクな描写や気違いじみた表現が多かったためもいえるかもしれません。


というわけで2年ぶりに読んだ小説、なかなか面白く引き込まれる小説でした。
シャングリ・ラLink シャングリ・ラ 上 (角川文庫)Link シャングリ・ラ 下 (角川文庫)Link
アニメシャングリ・ラ公式サイト
Link
Wikipediaで作者を調べる→池上永一W

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マルドゥック・スクランブル

~あらすじ~
なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
まず、何故読もうと思ったか。この本を見つける前に以前村田さんの展覧会に行ったLink と書きましたが、その村田さんがキャラクターデザインを手がけるアニメがOVAで出るというのを知りまして、その後偶然に、学校の図書館で原作であるこの本を発見し、よし読んでみるかと思い読み始めました。(3巻にわたる長編とは知らずに(笑))
内容はどうかというと、淫猥さとグロテスクさなど暗い雰囲気が漂っていて正直言ってあまり人には薦めようとは思わない本ですね。面白いか面白くないかと言われたら面白かったかったですが、う~むなんと言えば良いのかな、良くもまあこんなものを書けると言うかなんと言うか、すごい作品であると同時に難しいものでした。3巻のあとがきからも伝わってきますが、作者の渾身の作であると言うことがひしひしと伝わってきます。私は1巻だけだと思い、通学の電車内のみで読んでいたのですが、読んだ後に2、3巻があることに気づき、ある意味唖然としましたが、読んでしまったのだから仕方ないということで、2,3と電車内でひたすら読み続けて全て読み終わるのに3,4週間かかりましたね。(あくまで電車内(笑)) 私はどうもたとえよく分からなくとも同じものを2度見たり、読んだりはあまり好きではないので、しませんがもう一度読み返さないとよく分からないなと感じました。(特にカジノの部分)

2007年9月26日追記
OVA化は数ヶ月前に製作中止となりました。残念です・・・

作者のサイトLink

マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)Link マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA)Link マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)Link

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