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「大琳派展-継承と変奏-」、「スリランカ―輝く島の美に出会う」を見てきました

展覧会の看板



東京国立博物館Link で開催中の大琳派展-継承と変奏-Linkスリランカ―輝く島の美に出会うLink を見てきました。

まず、大琳派展を14時25分頃より見始めました。前回来た時にやっていた対決展Link よりは空いていましたが、それでも結構混んでいた印象です。

俵屋宗達と尾形光琳の作品は対決展で対比という形で初めて見て、私としてはそれほど感じる物がなかったのですが、東京国立博物館の年間パスポート(6回分)をある事で手に入れていたため、なるべく使わないともったいないと思い、偶然、平日の午後に暇ができたので、これはチャンスと思い、見てきた次第です。

さて、内容についてですが、この展覧会では、琳派Wと呼ばれる作風、手法が似ている芸術家たちの作品が一堂に会し、俵屋宗達W本阿弥光悦W尾形光琳W尾形乾山W酒井抱一W鈴木其一Wといった感じで時代の流れとともに展示されています。

基本的に宗達と光琳の作品は残念ながら屏風という保存が難しい?作品が多いためか、どれも状態劣化、色が褪せているなどがあるので、作品が出来上がった当時に見ることができたら美しい感じだったのだろうなと思いました。逆に今の状態で見ることで落ち着いた、深みのある印象を受けて良いと思われる方もいるかもしれませんが、私はやはり目に見える劣化した作品をあまり良いとは思えません。

また、私には茶碗や文筆の良さが分からないので、そういった作品もあまり楽しめませんでしたね。そうなると、楽しめる作品は限られてくるわけで、私としては一番新しく、状態も良い、鈴木其一の作品が一番堪能できたと感じました。秋草・月に波図屏風は圧倒的な繊細さで美しいですし、雨中桜花楓葉図は葉のグラデーションが美しくクリーム色の背景との対比で映えていて、しんみりと来て良かったですね。また、燕子花図屏風の花の深い藍色から、もの悲しくも力強く印象的でした。

だからといって、興味のない作品はさっと通り過ぎたわけではありません。全作品の題名と説明文を読んである程度眺めて回りましたし、もちろん、宗達と光琳の作品で良いと思うもの、面白いと思うものもいくつかありました。

まず、目玉の一つである宗達、光琳、抱一、其一の4人の風神雷神図、これは私は一番、宗達のものが重厚な雰囲気が出ていて良いと感じました。宗達の双犬図や光琳の竹に虎図など動物を主題とした作品は他の作品とは一風変り、漫画っぽさを醸し出しているのが可愛く感じたり、宗達の白象図杉戸なんて、これはないだろうと笑ってしまいつつもユニークで面白い絵でした。

私が全体的に感じたことは四季の変化を巻物に描いたものがあったりしたのですが、どれも秋~冬あたりが好きだったことです。今の季節だからというのもあるかもしれませんが、その部分が心に深く感じるものがありました。

見るのにかかった時間は約1時間25分ほど。私と同じぐらいに見終えた老夫婦は2時間ほどと言っていたので、混雑という状況では別ですが、ある程度の混み具合でゆっくり見るとそのぐらいになるのではないでしょうか。


次に「スリランカ―輝く島の美に出会う」を見たのですが、その展覧会がやっている表慶館に入ったのが16時過ぎで「17時で終了ですが、どうしますか」と言われたのですが、折角来たことだし、人入りも少ないだろうということで入りました。だいたい客がおそらく館内に10人ほどだったのではないかと思います。そのため、時間を気にしつつ、長い説明文はさっと見て面白い作品はそれなりにじっくりと見て回りましたが、50分もかからずに回れました。そのため、もう少しゆっくり見ればよかったかなとも思いもしました。

私はこのスリランカ展にほとんど期待などしていなかったのですが、これが思いのほか面白い。人が少ないため、ゆとりをもって見て回れたことも、そう感じた理由にもなるかもしれませんが、面白い。

仏像なんてどれも同じような格好だと思いがあったのですが、モデルみたいなポーズをしたものなど結構面白い体制の仏像が多く、これには驚きで、その仏像自体の出来もどれも素晴らしく、スリランカは未開の地のような印象だった私にとっては衝撃でしたし、小さい仏像など格好よくて、私が集めているフィギュアのように是非、家に飾りたいなんて思うものもありました。(笑)

また、装飾品、道具など当時、王宮で使われていたものも興味深いものが多かったですね、装飾品などきらびやかで精巧な作りでしたし、面白いというものでは便器や耳かき、浣腸器などバリエーションに富んだ展示となっていました。

そんなわけで、大琳派展はまあそれなりに(鈴木其一に興味を持った)、スリランカ展は意外に面白かった。そんな印象を受けた2つの展覧会でした。

大琳派展-継承と変奏-
会期:2008年10月7日(火)~11月16日(日)(月曜休館)
東京国立博物館のサイト内のページLink
展覧会専用のページLink

スリランカ―輝く島の美に出会う
会 期 2008年9月17日(水)~11月30日(日)(月曜休館)
東京国立博物館のサイト内のページLink
展覧会専用のページLink


白象図杉戸
白象図杉戸

竹に虎図
竹に虎図

燕子花図屏風
燕子花図屏風

雨中桜花楓葉図
雨中桜花楓葉図

秋草・月に波図屏風
秋草・月に波図屏風


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五姓田のすべて -近代絵画への架け橋-展を見てきました

神奈川県立歴史博物館入口前



神奈川県立歴史博物館Link で開催されている五姓田展Link を見てきました。今週の金曜までということで、あわてて行ってきたような感じです。ちなみに、神奈川県立歴史博物館は初めて行きました。横浜からみなとみらい線の馬車道が最寄り駅なのですが、往復360円をけちるために横浜から30~40分ほど歩きました。まあいろいろ周りを見ながら歩けたのでよかったのではないかと思います。

さて、この五姓田展ですが、私が毎週録画して見ているNHKで放送中の新日曜美術館の最後でやっているアートシーンLink で知り、興味をもったので行ってきた次第です。美術館情報は結構事前に調べてたりするのですが、博物館系はあまり興味がないので見逃してしまうことが多く、知ることができてよかったです。

内容について、博物館のページを見ていただければ分かりますが、五姓田派というのは横浜が開港して、それ同時に多くの西洋文明が日本に入ってきました。その中に洋画があり、それに関心を持ち積極的に自分のものにしようと取り込んでいった画家たちで、洋画界のさきがけと言えるのではないでしょうか。

和洋折衷と言う言葉がありますが、まさにその言葉がピッタリな展覧会で、洋画なのに日本、良くも悪くもそれまでの日本画とは違い、リアルな日本を描いているという印象でした。洋画のさきがけということで今からすれば未熟に見える作品も見受けられましたが、こうやって日本の洋画、洋画教育は開花していったのだと言うものを肌で感じ取れたのが良かったです。またいくつか、私が好きなギャグのような面白い絵やすごい細密描写の絵とも出会えたのも良い収穫でした。

ただ、難点を言うと、私はこの博物館へ足を運んだのが初めてなので他の時がどうなのか分かりませんが、照明が他の美術館と比べて明らかに暗いという点です。別に見ること自体には支障はありませんが、作品の劣化防止という事を考えても暗い感じがしました。(笑)
また、これはいつもどの展覧会でも毎度ながらに思うことではあるのですが、ポストカードをもっと充実させて欲しいということですね。ちなみにこの展覧会ではどうやら他の美術館から引き取ったポストカードが売られていました・・・ひどいのは郵便番号5ケタのポストカードがあったということ、これは5ケタということで通常100円のところ、50円でしたがいったい何年前だよと。(笑) (調べたところ98年らしいです。10年前・・・)

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ミレイ展を見てきました

現在、Bunkamuraで開催されているミレイの回顧展Link を見てきました。家に帰って両親に話したところ勘違いされたのですが、あの落ち穂拾いのミレーではありません。ミレイです。いや、どちららにしても実際の読み方をカタカナで再現できないと思うのでどちらでも良いと思うのですが、落ち穂拾いのジャン=フランソワ・ミレーWはフランスの画家で、こちらのジョン・エヴァレット・ミレーWはイギリスの画家です。ちなみに生きた時代は共に結構重なっています。

さて、展覧会についてですが、ミレイ展のページLink を見ていただけると載っている『オフィーリア』、これはシェイクスピアの戯曲ハムレットでオフィーリアが溺死する場面を描いた作品で、これが目玉となっています。私もこれが半分ぐらい目当てで見てきたのですが、これがとても細密で色彩が鮮やかで心奪われましたね。溺死するという悲しい場面だというのに何故こんなにも美しいのかと思いました。また、作品自体も思っていたより大きく意外でした。他の作品も細かく丁寧に描かれていたのですが、まず、最初から驚きました。ミレイは最年少の11歳でロイヤル・アカデミー(王立美術学校)に入学した事もあり、10歳の時に描かれたデッサンが半端ないです。逆に言えば、この時代、もちろん今の時代もそうでしょうが、デッサンは画家にとって基礎中の基礎である事がうかがえました。

それ以外で私が注目した作品は『マリアナ』と『救助』です。

マリアナ



マリアナの解説はbunkamuraのページLink に載っています。絶望の中で孤独な生活をおくる女性ということなのですが、これが本当に美しく妖艶で、下手な裸婦画よりも官能的に感じられます。腰つきが実にけしからん!(笑) 表情も良く、どれをとっても素晴らしい。

救助



救助ついてのの解説は載っていないのですが、見ての通り消防士が子供を助け出し、母親が安堵するという場面です。私が惹かれた理由はまず、この勇敢な消防士が格好良い、そして、これは会場の解説に書いてありましたが、左上から右下への赤から青への色の変化が、この場面を良く引き立てているところが良いと。ちなみにこの作品はポストカードが販売していなくて残念でした。

あとは『ああ、かようにも甘く、長く楽しい夢は、無残に破られるべきもの』、『ベラスケスの思い出』、『あひるの子』、『使徒』、『国王衛士』、『何を考えているのか』、『ハントリー公爵夫人』、『穏やかな天気』などが良かったと感じました。70点余りあり、どれも綺麗ではあるのですが、実はあまり心に来ない作品も多かったのです。それでも上記の作品を見られた事は大きい収穫であったのではないかと。

ただ、1つ失敗したと思った事があります。平日の3時ぐらいならば空いているだろうと思って行ったら入り口から結構込んでいて焦りました。え、こんなに人気があるのと。ですが、帰宅してそれを父に話したところ、明日の秋分の日と併せて月曜を休みにする会社も多いんじゃないと言われて、ああなるほどと思いました。これは少し誤算でしたね。まあですが、1時間半ほどそれほどせかされる事もなく見られたので良かったとします。

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パリの100年展&ウルビーノのヴィーナス展を見てきました

地獄の門
国立西洋美術館の前庭にあるロダンの地獄の門です

今日は学校が創立記念日ということで休みでしたので上野の東京都美術館Link で開催中のパリの100年展Link (7月6日まで)と同じく上野の国立西洋美術館Link で開催中のウルビーノのヴィーナス展Link (5月16日まで)を見てきました。

メインとして東京都美術館に行こうと考えていて気力があれば国立西洋美術館にも行こうと考えていたので、最初に東京都美術館に行きました。到着したのは10時過ぎです。

平日の午前中ということもあり上野公園には年配の方が多かったのですが、季節がらか修学旅行生を多く見かけました。そのため、美術館も混雑するかと思ったのですが、美術館に入る中学生はあまりいなかったり、いてもじっくり見ているなんて事はなかったので特に問題はありませんでした。おそらく私も中学生の時に訪れていたらさーっとまわっていたでしょうね。(笑)

さて、東京都美術館のパリの100年展ですが、全体的に内容が地味な感じでした。ルノワール、セザンヌ、モネなど有名な画家の絵もありますが、どうもパッとしない感じ。一番印象深かったのはユトリロの『コタン小路』とジョルジュ・ダンテュの『トロカデロ公園、サイ、雪の印象』かなと。もう少し展示作品を頑張れなかったものかと思いました。ですが、絵だけではなくエッフェル塔の誕生までの歴史や建造中の写真、同時期の文学者についてなども併せて公開されていたのはなかなか面白かったと思います。
ゆっくりと1時間半ほどかけて回り、ユトリロとデュフィの2枚だけポストカードを購入しました。でも一番欲しいと思った上で挙げたダンテュのサイが無いのは残念でした・・・。
出た時、時間は12時を回っていたかと思います。

パリの100年展だけでもかなり疲れた感じではあったのですが、折角来たのだしと思い、初めて国立西洋美術館に足を運びました。ウルビーノのヴィーナス展はNHKの新日曜美術館Link で紹介されていたのを見たのでそれで充分かなとも思っていましたが、

行ってよかった! 見てよかった!
ウルビーノのヴィーナス!
最高です! エロスです!


と今でも興奮冷めやらぬ感じで、これだけのために1100円を出す価値は充分にあったと感じました。何時間でもじっくり見ていて飽きないと思いました。絵をどこから眺めても私を見つめているように見える良かったです。
ちなみにこちらでは6枚のポストカードセットを買いました。ですが、こちらも何故か私の気に入った他の絵のポストカードが無くて残念だったり・・・。

また、チケットで常設展の方も見ることが出来るので当然ながらこちらも初めて見たのですが、クールベの波はいいですねぇ。モネの睡蓮も良い感じでした。

それと、これは美術館に入らなくても見られるのですが、ロダンの考える人と上に画像を載せた地獄の門も初めて見ました。何と言いますか、おお!これがか!というのが第一印象で個人的には彫刻品は絵画に比べて興味はないのですが、地獄の門の大きさには圧倒されました。

最後にこれはおまけといいますか、帰り際に上野駅からすぐの上野公園に入ったところでパフォーマンスをしていてそれがなかなか面白かったです。

雪竹太郎さんの人間美術館



調べたところ雪竹太郎さんという方で大道芸人としてかなり有名な方だそうです。

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河野通勢展を見てきました

現在、平塚市美術館Link で開催中の河野道勢(みちせい)展Link を見てきました。

平塚市美術館正面



見てきた理由は家から徒歩1時間半ほどで値段も一般200円、学生100円と安かったこと、2月17日にNHK教育で放送された新日曜美術館で「よみがえる大正の鬼才 洋画家・河野通勢Link 」と題され特集されたのを見て興味を持ったためです。

概略については美術館の特設ページLink新日曜美術館の番組アーカイブLink を見ていただければ分かると思います。

感想としてはやはり、展覧会に入ってすぐにあった初期の自然を題材とした作品が一番秀逸でしたね。最後まで見終わってから再入場は出来ないので最初のところまで逆行して見返しました。
草木の細密描写が素晴らしい。ただ、どうもその細密描写ゆえなのか(それとも油彩だからか)、日本なのに日本ではなく、東南アジアや南米のような、それともアフリカ? すごい密林で湿ったような印象を受けました。これは画家がそれを狙ったのか、単に私にはそう見えるだけなのか分かりませんが、日本だけれども、そうではない別の世界という風に見えて面白かったです。
また、この方は自画像を集中的に描いた時期がありまして、その自画像なども印象的で格好良かったですね。

ちなみに画集は2000円でしたが、買わずにポストカードを1枚だけ買いました。売っているポストカードは6枚と少なく、しかも初期の風景画は1枚のみですし、初期ではなく自画像や中後期の作品でも良いなと思ったものはあったのですが、ことごとくありませんでした…。
それと今回初めて平塚市美術館を訪れましたが、茅ヶ崎市美術館Link と比べるとこちらの方がかなり規模が大きく驚きました…また数年前に建て替えたばかり?なのか内外ともに綺麗でしたね。隣町なので良さそうな特別展があればまたぜひ、足を運びたいと思います。

最後に余談ですが、美術館内でどこかで見たことのある人を見かけ、誰だっただろうと思いましたら新日曜美術館に出演されていた平塚市美術館学芸主管である土方さんでした。(笑) ちょうど取材を受けていたようです。

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