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ひとりビジネス

~あらすじ~
「起業」ブームの中で、ひとりで仕事を始める人が少なくない。雇われず雇わない、そして思いがけぬ隙間のビジネスに挑戦している人たち20人のの仕事とライフスタイルを紹介する
(出版社紹介ページより)

私の評価:

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~感想~
正直言って私のような就職もしていない学生は本書の対象外なのかもしれませんが、どの話も興味深く、理想だけではなく現実的に書かれているなと思いました。何故なら登場する方々の大半が前職(会社勤め)の時の方が給料は低かったり同等程度なのです。つまり独立は甘くないと言うことですね。もちろん視野を広くすれば本書で紹介されなかった既に失敗してどうしようという人も現実にはいるでしょうし、ここで紹介された方々もさまざまな要因によっていつまで今している仕事を続けられるか分からず、将来、老後は不透明です。

しかし、一貫して本書で紹介された方々は皆、金銭的にきついと嘆いても、今の仕事をして良かった、会社に束縛されていた以前より自分は輝いているなどと口にする方が多いです。これはどういうことかというと、転身、独立し、ひとりでビジネスをすることでお金に勝る幸せ、充実感を見つけたということなのでしょう。

本書には様々な仕事、聞いたことのないようなニッチなものまで独自に始めた方など紹介されています。また、年代も若い世代から団塊世代、男女問わず紹介されていて自分と重ねて読むことが出来ると思います。そんなバラエティーに富んだ内容なので読んでいるうちに自分も独立できるのではないだろうかという気にさせてくれるのではないでしょうか?

本書の良いところは先ほど書いたように良い話ばかりではなく悪い側面もうっすらと書かれていて、その点についてはあとがきで著者も自覚してしっかりと指摘されていますので夢話ではなく現実的に話が書かれているところです。

仕事に追われいたり、今の仕事に疑問を感じている方、独立に興味のある方は軽い気持ちで読むことで色々な意味での現実をしることが出来ますので良いのではないでしょうか。

ちなみに私がなぜ本書に手をつけたのかというと、ずばりひとりビジネスに憧れているからです。(笑)
いや、ですがいきなりひとりで仕事をするのも厳しい話でしょうから、ちゃんと会社に就職してスキルを身につけていずれは…と思っているので興味があり読んでみたのです。
また、父が定年退職をして、現在は再雇用で働いていますが、こういうひとりビジネスの道を探っているので何か助けにならないかなという思いもありましたし、実際に父に紹介して興味のある部分をさらっと読んでもらいました。父の感想としては、なかなか難しいというようなネガティブな感想でしたが私はもっとポジティブに考えても良いのではないかと思いますけれどね。
まあ、私という留年したバカ息子と、大学受験を控えた妹がいる状況では楽に独立してどうこうという話ではないのは充分分かりますが…。

つまりは

頑張れ俺!

ということで締めさせていただきます。

出版社の書籍紹介ページLink

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術

~あらすじ~
作家・清水義範の小説スタイルは「パスティーシュ(模倣芸術)」と呼ばれてきた。さかのぼれば、『旧約聖書』の「ノアの方舟」の話は『ギルガメシュ叙事詩』からの引用だと言われる。スタインベック『エデンの東』は『旧約聖書』のカインとアベルの物語から作られた。また、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』に腹を立てて生まれたのがスウィフトの『ガリヴァー旅行記』である。

世界の文学はつながっている。

(筑摩書房公式サイトより)

私の評価:

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~感想~
私は著者である清水義範さんの事はまったく知りませんでしたし、小説も小中高と習った教科書以外のものだと数えられるほどしか読んでいません。(それは言い過ぎかもしれませんね)
別に小説が嫌いというわけではなく、過去にはまってシリーズで読んだ小説もありましたが、どうも私の場合、最初に読み始める勇気が必要なようで買ったは良いものの数年間放置している小説も何冊かあります。
小説ってテレビ番組や映画などの映像とは違い読まなければ先に進みませんし、かといって、漫画のように楽にすらすら1冊を短い時間で読めてしまうものではないので、「勇気」が必要になるのだと分析してみました。小説好きの方からすれば首を傾げられる事でしょうが、まあそういう奴もいるのだよと思ってください。

さて、前置きが長くなりましたが、今述べたように私はあまり小説を読んでおらず、ましてや世界の名文学など読んだことがないため、本書では題名を知っている程度の名文学がぞろぞろと出てきたわけですが、そんなのもあってか、『早わかり世界の文学』という楽~にいいとこ取りでなんとなくあらすじを知れそうで良さそうな本だと思い手にとりました。

本書は過去のいくつかの講演をまとめ、それに論考などを加筆したもので構成されています。著者がパスティーシュ作家ということもあり、最初の講義(節)ではパロディは文学でつながっているというものから始まり、様々な世界の文学を話に交え、自分の小説家としての生き方や半生を語ったり、著者が選ぶ世界十大文学なんてのも収録されています。

私は恥ずかしながらパスティーシュWという言葉を初めて知ったのでパロディとの違いなど分かって良かったです。ちなみに本来の目的である世界の有名文学をなんとなく分かるというのは私としては充分に満足できる内容だったかなと思います。本書での当時の時代背景を交えた分かりやすいあらすじの紹介でそれ自体を読みたくなったかというとまた別問題ですが、題名だけ知っている物語は「へぇ~そういう時代背景で作られたこういう話だったのか」という感じで為になりました。

ですが、私はどちらかというと後半の節の作文教室と創作方法やユーモア文学論の方が笑えてそれで納得できて面白かったかなと思いました。

ちなみに最後のあとがきに清水先生は「読者の中に、何か読んでみたくなったなあ、という人が一人でもいてくれることを、私はひたすら願っている。」と書かれておられるのですが、

私はむしろ小説を書きたくなりました(笑)

そんな、わかりやすく愉快な本ですので、お勧めです!
(ちなみに今実際に小説の構想を練っていたり・・・完成するといいなぁ)


著者をWikipediaで調べる→清水義範W
筑摩書房 本書紹介ページLink

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書 712)Link

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日本を降りる若者たち

~あらすじ~
「外ごもり」と呼ばれる日本に嫌気がさし、生きにくいと感じたために物価が安いタイなどの外国で目的もなく1年の大半を過ごす人達がいる。彼らは派遣労働やバイトなどである程度資金を貯めてタイへ行き、安い宿やアパートで過ごし、資金が尽きたところで日本へ戻るという生活を繰り返す。
彼らは何故「外ごもり」をするのか? それに至った経緯は何なのか?
そんな彼らの生態が描かれた本である。

目次
序章 旅から外ごもりへ
第一章 東京は二度と生きたくない
第二章 人と出会える街
第三章 ワーキングホリデーの果てに
第四章 留学リベンジ組
第五章 なんとかなるさ
第六章 これでいいんだと思える場所
第七章 死ぬつもりでやってきた
第八章 こもるのに最適な環境
第九章 変えるのが怖い
第十章 ここだったら老後を生きていける
第十一章 沖縄にて
付章 ラングナム通りの日本人たち

私の評価:

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~感想~
いや、面白い。
タイトルに惹かれて読んでみたら、これほど今の自分の考えに近いものとは思いませんでした。そのためテスト中にもかかわらず一気に読んでしまいました。

あらすじにあるように「外ごもり」と呼ばれる人達の生態が描かれていて、それに至る経緯は人様々で目次にもあるようにそのきっかけはかつてタイへ旅をしたことであったり、ワーキングホリデーや留学の果てにタイへたどり着いたり、死ぬつもりでやってきた人など。
これを読んで私も数年後にこうなってしまうのではないかという麻薬的な誘惑と怖さを感じました。彼らの生活は一般的な考えからしたら幸せなのかと首をかしげる生き方なのかもしれません。しかし、そんな生き方もどこかうらやましいという思いが頭の片隅にある方も案外いるのではないでしょうか。
何故タイなのかといいますと、物価の安さ、タイの人々のおおらかさから自分たちを受け入れてくれる環境、暖かい気候などが挙げられるかと思います。

これが幸か不幸かは当人が決めることですが、私は現時点の思いとしてこの生き方が幸せだとは思いません。まだ日本で挑戦さえしていないのですから。ただ、上で述べたように楽天的な考えであることが多い私にとってはタイでの生活は麻薬的な誘惑に駆られます。思い返せば2年前にシンガポールへ旅行したときも、ああシンガポールで住むのも悪くないかもなと感じたところからもその片鱗が見えた気がします。

もし、数年後日本に嫌気がさしてしまったらこういう形で日本からドロップアウトして解放されるというのも選択肢の一つに入れるのも悪くはない。いや、そこまでしなくてもそういう生き方もあるのだと言うこと知ることが出来て良かったと思いました。

ちなみに本書には「外ごもり」をしている人達だけではなく、タイまで行く勇気が無く沖縄へ移住する人や、タイで働こうとする人、物価の安いタイで老後を暮らそうとする人などについても書かれています。


日本を降りる若者たち (講談社現代新書)Link

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ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか

~あらすじ~
現代は、江戸から明治に匹敵する「時代の大きな変わり目」だ。ウェブという「学習の高速道路」によって、どんな職業の可能性がひらかれたのか。食べていけるだけのお金を稼ぎつつ、「好き」を貫いて知的に生きることは可能なのか。この混沌として面白い時代に、少しでも「見晴らしのいい場所」に立ち、より多くの自由を手にするために――。オプティミズムに貫かれ、リアリズムに裏打ちされた、待望の仕事論・人生論。『ウェブ進化論』完結篇。
(Amazonより)

私の評価:

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~感想~
まず、最初に私は著者の著書であるウェブ進化論Link は未読です。話題になっていたことは知っていましたが、その時はそれほど気にならなかったので読みませんでした。それで今回ネットで話題になっていた本書を読み、順序は逆となってしまうのかもしれませんが、読んでみたくなりました。

読み始めの印象は何だか小難しいものが書いてあり、もっと読みやすい本だと思っていたので読み進めるのがつらそうだということ。(まあ最初は概論、外堀から埋めていくので仕方のないことかもしれませんが)
また、私はネットの世界で食っているわけではありませんが、実世界よりもネットの世界に浸かっていると思っていました。ですが、本書はネットという実世界とは別の世界でどういう生き方(食っていくか)をすれば良いかを著者のネットでの生き方と絡め、様々な実例をあげたり、モデルを提唱していくという趣旨なので、どうにも趣味レベルでネットに浸かっている私にとっては同じ世界にいても住む世界が違うと言いますか、実例に上がる方々がどの方も素晴らしい方ばかりなので突き放されている印象を受けました。(実際その通りなのでしょうけれど…)

しかし、私は電子情報系を学ぶ学生であり、こういう世界に興味を持っているので、読み進めて「ああ自分もこういう世界で食い扶持を見つけて生きて行けたらな幸せだろうな。」などとも改めて思いました。具体的にどのように生きればよいのかについては「高速道路とけものみち」という話や「ロールモデル思考法」など著者が提唱、考えをまとめているわけですが、結局の所、どのようにすれば生きられるかと言いますと、

いかに、熱中できるか。好きを貫けるか。

と言うことだと、そういったことが本書に何度も書かれていましたし、実際私もそのように感じました。これはロールモデル思考法と重なりますが、ロールモデル思考法とは簡単に言うと自分が好きだと思っている人の生き様、好き感じている様々な事柄に対して、なぜ好きなのかを自問し、考えどこに惹かれているのかを判明することにより、「自分の好き」の断片を集め、情報を取捨選択し、それを固めることで具体的に「自分の好き」とは何のなのかを見つけるというものです。
これは考えとしても実践としても悪くないと思いますが、仮にロールモデル思考法により、とりあえず何となく「自分の好き」が分かっても私の場合、それに+難題があると思います。

それは、「やる気」

いや、好きなだと思ってもやる気がなければそれは好きと違うのではないかと思われるかもしれませんが、私にはそう思えません。それとこれとは別ということです。まあ、そんなことについては個々でどうにかしてくれということで、こればかりは本書や他の本でいくら熱弁されても本人の気持ちの入れようであり、どこでそのスイッチが入るかなど人それぞれで書かれても無駄な事でありますが、私はそれが一番難しいと思ったので書いてみました…。まあ、それは私が単に横着者なだけでしょう。(笑)
(恥ずかしながら最近私もそれが理解できるようになってきました…)

話がずれてしましたが、結果的に言うと本書は読み進めやすかったですし、関心のある事柄ばかりで飽きることはありませんでした。ですが、それは私が趣味レベルながらもネットに対して大きな興味、関心があり、何よりもそういった世界で生きられたら幸せだろうと考えているからであり、それほど関心のない方にとってはそこまで面白いとは感じず、それを喚起するような内容とはなかなか言い難いのではないでしょうか。著者がどこまでの層に対して向けて書かれているのか分かりませんが、そう感じました。ただ、未読ではありますが、それについては以前書かれたウェブ進化論を読めば良いことなのかもしれません。本書はウェブ進化論の完結篇という位置づけらしいので。というわけで冒頭でも書きましたが、近いうちにウェブ進化論を読めたら呼んでみたいと思います。
他にもすばらしい話は沢山載っていて取り上げたくも思いますが、自分が特筆すべきだと思ったところを取り上げてみました。
(実は1週間ほど前に読み終わっていたのですが、なかなか感想を書く機会というか、書く気が起きず年末に書くこととなってしまいました。(笑))


著者、梅田望夫さんのブログLink
梅田望夫さんの情報をWikipediaで調べる→梅田望夫W

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)Link

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お節介なアメリカ

~あらすじ~
真の平和はいずこへ?
平和という名の下に行われるイラク侵攻をはじめとするアメリカの世界各国への介入。
アメリカによる介入は本当に平和や自由、民主主義がもらたすと言えるのか。
言語学の権威、反戦運動家としても知られるノーム・チョムスキーWがその背後にある矛盾と欺瞞を舌鋒鋭く告発する。
本書は2002年から2007年にわたって著者がニューヨーク・タイムスに向けて書いた記事をまとめ新たな情報も付け加えた物である。
(出版社本書説明を一部引用)

私の評価:

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~感想~
非常に興味深い本でした。私たち日本人にとっては日本がアメリカと今までのように同盟関係を続けていくべきなのかと問いかけられるような内容です。ただ、著者の傾向から内容は全体的に左派的であり、そのきな臭さというのが感じられますが、アメリカの傲慢さというのはニュースなどで皆さんも感じられていることではないかと思います。9.11より始まった一連のアメリカによるアフガンやイラクへの侵攻、以前膠着を続けるパレスチナ問題でイスラエルの支援し圧力により平和的解決を進ませないアメリカ、南米各国への圧力、軍事的妨害などアメリカによる平和の名の下に行われる様々な介入。それらを排除し、日本をはじめとした何らかの圧力、介入を受ける世界各国はアメリカとの世界地域、各国の協力による対等な外交、真の独立、自由を獲得すべき時に来ている。アメリカという歴史上類を見ない超大国とどう接するべきか、これがアメリカのやり方であり矛盾も欺瞞もたくさんある。そのような著者の伝えたい思い、この5年間にわたって書かれた文章から伝わってきました。

ただ、それほど厚い本とは思いませんが、読むのに疲れる内容なのか、翻訳が所為なのか読み終わるのに時間がかかりました。(元々ほとんど通学中の電車でしか読みませんが、1ヶ月ぐらいかかったかもしれません。(笑))

本書を読んで私の考えとしては、だからと言って日本が今よりアメリカと距離を置いた場合やっていけるのかというと、それは厳しいと思います。アメリカと距離を置くということは別のどこかと逆に関係を強めなければやっていけないということで、たとえば中国と関係を深めれば今より良い状態になるかというと決してそんなことは無いでしょう。今の中国の状況もそうですが、何せ政府が反日を扇動しているわけで、韓国も同様。これらが解消され、また政治状態が良くなれば極東アジア、東アジア経済圏のような強い結びつきによりEUのようなアメリカに対抗できるものが作れると思うのですがね・・・。

ちなみに私が本書を手に取った理由は大学1年の時に受けた一般教養の世界史の授業でノーム・チョムスキーという人が書いた9.11に関する面白い本があると薦められてなんとなく頭の片隅にその名前がありました。(9.11の本は読もうと思いつつ結局読んでいませんが。)
それで偶然この名前を見たときにああこの人かと思い出し、それほど興味のある内容ではありませんでしたが、手に取ってみました。アメリカの裏側を知ることが出来たため有意義であったと思いますが、やはり読みにくかったのは否めません。


お節介なアメリカ (ちくま新書 676)Link

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