セイヴィア

~あらすじ~
主人公ギイはイスラム原理主義者のテロにより妻子を失った。それにより理性を保てなくなり、テロ現場近くのイスラム教寺院の信者が犯人だと決めつけ、そこへ乗り込み礼拝していた信者を皆殺しにしてしまう。ギイは政府関係の仕事に就いていたため、その繋がりにより?罪を免れる代わりに訓練を受け、内戦状態のボスニア・ヘルツェゴビナへ派遣され、セルビアの外人部隊へ入隊する事となったのだった。

私の評価:

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~感想~
本作は会員のENZANに勧められて見ることにしたこともあり、私は見始めから何だかかったるそうな映画だなと思っていましたが、開始わずか数分でテロで妻子を失う事に驚きつつも、その辺から引き込まれていきました。犯人がイスラム原理主義者である目星はついていたようですが、襲撃して皆殺しにしたイスラム寺院の人が本当に犯人だったのかどうかについては触れられていません。どちらにしてもいくら妻子を失ったとはいえ急な行動には見えたのですが、別の見方をすれば人間の憎悪と言うものは恐ろしく、こうも簡単に行動をしてしまうという事を示しているのかもしれません。

そして、ここら辺もあまり詳しく触れられていないのですが、おそらく裏取引による刑罰免除で傭兵として鍛え上げられ、名前も変えて新しい人物として、内戦中のボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア軍の外人部隊へ派遣されます。そこでは他勢力による蹂躙、また自勢力による蹂躙も行われ、子供までもが内戦の道具とされるひどい内戦状態、まさに悪夢と言える惨状でした。

本作ではほとんど報われる、救われるような展開はなく、そう言ったことに期待してはいけません。なんの躊躇もなく惨殺されたり、人が殺されていきます。本当に最後には報われるというような甘い映画ではありません。ですので、暗く地味な印象を受けると思います。しかし、そのように明るい要素をほとんど排す事により、生々しく、リアルさが良く現れているのではないでしょうか。

戦争の悲惨さ、宗教、民族対立の無意味さといったものが痛烈に伝わってきます。
そして、何のための、誰のための戦争なのかという問いが浮かんできました。

この映画はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争Wを元に作られており、私は当時小学生であり、そう言ったことがあったなぐらいにしか記憶になく、コソボ紛争WのNATOによる空爆は結構記憶には残っていますが、いまいち良く分からなかったのです。しかし、これが調べてもセルビア、クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナなど多くの国、民族が関係しているためになかなかこの一連の紛争から独立までの流れをつかむのは難しく、出来ればもう少し調べて関係を理解できればと思っています。そういった意味では、その流れを理解している方であれば、より視野を広くしてこの映画を見ることが出来のではないでしょうか。

私は基本的に「楽しい」映画の方が好きですが、こういった映画を見るのもたまには悪くなく、様々なことを考えさせる良い映画だと思いました。


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